外反母趾〜ある日の施術より〜


20代女性。両足、特に右足親指の付け根が痛い。

よく骨盤が締まる、開くのお話をさせていただきますが、これが外反母趾にも非常に関係してきます。

なぜそのように骨盤のかたちの変化が起こるのかというと、いくつかの理由があります。そのうちのひとつは姿勢の習慣によるものです。

例えばカイロプラクターの方々は、ベッドの横に立った位置から上半身だけベッド上に乗り出す姿勢で、うつ伏せになっているお客様の体(背中)の正中線と自分の顔の正中線を合わせるようにして背骨や骨盤がどうなっているかを調べたりすることが多いので、いつもベッドの端に近くなる方の骨盤(腸骨)が内側に巻き込むかたちになることが多いそうです。

均整法では座敷やマット、あるいは大きなベッドにこちらも一緒に上り、うつ伏せのお客様の真上に立たせていただく姿勢で背骨の状態を調べることが多いので、姿勢によって骨盤が巻き込むことはないのですが、中腰の姿勢がきついからと、ひざを伸ばしたまま腰だけ曲げて施術を続けていると、腰にはそうとう負担がかかるので、いつも気をつけています。

話が逸れましたが、このような姿勢の習慣による変化と、もうひとつは自律神経のバランスによる変化です。

7月14日付『腰痛』でお尻(骨盤)を上下に分けて上半分は副交感神経、下半分は交感神経のゾーンになるというお話をしました。

外反母趾の方の体を観させていただくと、この骨盤の下半分、要するに尾骨(尾てい骨)周辺がとても緊張していることが多いのです。

体がストレスを受けた場合、交感神経を緊張させてそれに対処しようとします。それが日常的に繰り返される場合に、身体各部にある交感神経の反応の出やすい箇所が硬くなったり動きが制限されてきたりします。

例えば首の真ん中付近(頚椎4番)左の上腰部などがそれに当たりますが、首でしたら肩こり、左上腰部でしたら腰痛の土台になり得ます。そういう箇所のひとつが尾骨周辺、骨盤底部なのです。

骨盤底部の緊張が長く続くと、骨盤は内側に締まり、足の内側からつま先の内側(親指側)までのラインに体重が掛かりやすくなり、これが足の親指付け根の痛みや、ひいてはかたちの変化の土台につながったりします。

よって、単に骨盤のかたちだけを整えるのではなく、まず交感神経の緊張がどこから(主にどこかの内臓が中心になっています)来ているかを見極めて、それを解除します。

それだけで、軽い骨盤の変位は体の中から整ってしまいますし、それでも整わない(=期間がかなり経っていたりした場合)ときには、呼吸に合わせたゆるやかな操作で骨盤自体を微調整していきます。

そうして、骨盤が中からも外からも整い、骨盤底部から足先内側までのラインの緊張がとれたところで施術は終了です。親指側に掛かり過ぎていた体重が足裏全体に自然に乗るようになります。

整形外科等でテーピングなどの治療を受けられている方も、この調整を加えることで、末端だけではなく体の中心からのバランスが整い、より早く、根本的な改善につながります。

※逆に副交感神経が亢進することによる骨盤変位もあります(例えば暴飲暴食などで肝臓を働かせ過ぎると、肝臓を動かしている副交感神経も常に働き過剰になり、その結果 骨盤は、簡単に言うならば肝臓の方向に引き上げられたかたちになったりします)。現れやすい特徴など、こちらを参考になさって下さいね。快風院 症状別 体型紹介ページ『外反母趾』

(2005年10月6日)



Copyright (c) 2005〜2013, 肝臓整体『肝整』™の快風身体均整院 All rights reserved.