首が回しにくい〜ある日の施術より〜


30代女性。年に何度か、首の右側がきしむような感じになり、痛くて動きにくくなる。

首の右側を観させていただくと、7つある首の骨のうち、上から2番目(頚椎2番)が右にずれて硬くなっていました。直接にはこれが影響していると思われます。それがなぜなのか、大きくは3つのことが考えられます。

ひとつは骨格そのものの変位で、例えば均整法では「回旋型」と呼んでいる身体全体の捻れが骨盤→腰椎→胸椎ときて、それらと全体のバランスを保つために、頚椎も自然とある程度ねじれる場合。もしくは浅いプールに飛び込んで、プールの底に頭から突っ込んでぶつけたようなときに、頚椎に衝撃を受けて頚椎だけが捻れる場合。

これらのときには回旋型用の施術を行い、頚椎も呼吸に合わせてゆるやかに整えていきます。

もうひとつは、長期間の内臓の疲れが頚椎周辺の筋肉のコリを作り、それが頚椎を引っ張り込むかたちで歪みを作る場合。

首の右側は、神経の流れとして胃や腸の疲れが現れやすいところです(こちらの『神経ネットワーク図』をご参照下さい)。実際にこの方のもうひとつのお悩みとして、「下腹の張り」もありました。

(上記『神経ネットワーク図』をご覧になっていただくと分かりますが、首の左側には、主に肝臓疲れの反応が現れやすいです。)

よって、均整法では頚椎だけに着目せずに、内臓にも視野を広げて全体を観察し、整えていきます。お腹へのゆるやかな施術だけで頚椎がもとに収まることも少なくありません。

しかし、この方の場合は腸の疲れがもとでもなく、さらには回旋型でも頚椎に衝撃を受けたのでもない様子。3つ目の場合にあたりそうです。

それは「頭の疲れ」によるもの。頭を触らせていただくと、後頭部がキュッとしまってガチガチに硬くなっていました。

日常の仕事中でパソコン作業など、デスクワークの占める割合が多く、身体を動かす機会が少なくなると、「頭」「身体」のバランスが「頭」の方に偏ります。具体的には、前後の動きや硬さの差として現れてくることが多いです。

硬さの差は微妙で分かりづらいかもしれませんが、動きの差、首を前や後ろに倒したときに、どちらかが極端に行きにくい、あるいは行きやすくなっていて体調が今ひとつの方は、頭の疲れの蓄積がもとになっている可能性があります。

この方の場合も頭の疲れをとる意味で、いちばん最初に頭蓋骨を整える(前頭骨の調整で間接的に後頭骨を整える)と、頚椎2番は触ることなくもとの位置に帰り、下腹にもほどよい弾力が戻りました。

※「回旋型」については、こちらも参考になさって下さいね。快風院 症状別体型研究『12種体型』

(2006年9月22日)



Copyright (c) 2005〜2013, 肝臓整体『肝整』™の快風身体均整院 All rights reserved.