肝整レントゲンで「骨に異常なし」の意味


前回の記事(3月23日分)の50代男性。同じ日に、右腕や肩はさらに細かく観させていただいたのですが、腕を下から背中に回す動作(帯を結ぶ動作)で、右肩前(右三角筋の前部)にピリッと痛みが走るとのことでした。

右三角筋の前を触らせていただくと、左と比べて明らかに硬さがあります。

三角筋は首のつけね付近(下頚椎)からの神経で動かされている筋肉ですから、首も触らせていただくと、骨の右側に沿って、深い部分に棒状の硬さが感じられました。伺うと、10年ほどの間にムチウチを2度されたとのこと。

帯を結ぶ動作で、両腕の動く範囲をそれぞれ確認しておいてから、この棒状の硬さを整えると、右三角筋前の硬さがとれ、帯を結ぶ動作の左右差が縮まってきました。

ムチウチの際に整形外科でレントゲンを撮っても骨に異常はなかったとのことでしたが、ここで知っておいていただきたいのは、レントゲンの見方(読影〜どくえい〜といいます)には、整形外科的な見方の他に、カイロプラクティック的な見方もあるということです。

整形外科的な見方で異常(骨折や変形、椎間板ヘルニア、脊椎腫瘍など)がなく、でも相変わらず痛い、不調である、といった場合、カイロプラクティック的な見方をすると、その箇所に骨折などはないものの、椎骨の「左後下方変位(LPI)」とか「右後上方変位(RPS)」と呼ばれる、位置的なずれ、俗に言う「歪み」があったりするわけです。

どちらがよい悪いではなく、どちらも大切で、本来は一人の先生が両方の読影をできるとよいと思いますが、日本では医師とカイロプラクターは分けられている(アメリカではカイロプラクターは「ドクターオブカイロプラクティック」といい、お医者さんです)ので、整形外科医でありながら、カイロプラクティック式の読影もできる先生は少数派だと思われます。

均整師も医師ではないので、もちろんレントゲン診断はできないことになっています。その代わりとなるものが、12種体型による観察なのです。

例えば「左後下方変位」の椎骨であれば、動作として左に捻りやすく、右に捻りにくいことが多いですから、その影響が大きく出ると、12種体型では「フォーム6(左回旋型)」につながったりということが考えられます。

先の男性も、立った姿勢での動作としては「左に上体を捻りやすく、右には捻りにくい」わけですから、この左回旋型に当てはまります。

よって、下頚椎「棒状の硬さ」の部位だけに着目して、そこだけを整えようとするのではなく、まず左回旋型として全身のバランスをとっていく流れの中で、下頚椎の変化も観ていくのです。

※別の例ですが、アゴが上がった姿勢をとると首のちょうど真ん中辺り、頸椎でいうと4番を中心として、くの字型に折れ曲がります。

その‘くの字’がきついと4番に負担がかかりすぎ、やはり上記の男性と同じく、三角筋などに影響が出たりします。

くの字をゆるくしていくためには、猫背を整えていけばよいことが多いです。背中が後ろに張り出す分だけ、首はバランスをとるためにくの字がきつくなります(猫背の姿勢をとってみるとわかりやすいでしょう。自然とアゴが上がり、首がくの字になります)。

その猫背が肝臓の慢性的な疲れによって、肝臓の真裏の背中が盛り上がることで起こっていたとしたら、首だけをいくら整えてもかたちは変わりません。肝臓を整えることで猫背がまっすぐになり、首のくの字もゆるくなってくるのです。

※「フォーム6」については、こちらも参考になさって下さいね。快風院 症状別体型研究『12種体型』

(2007年4月5日)



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