「何週間も風邪が抜けない」とお困りの方を近頃よくお見かけします。そのあとに続く言葉で多いのは「年だからですかね〜?」。
そんなことはありません。ケアが足りていないだけです。 ここ最近は昼間暑くて夜寒いとか、昨日は暑かったのに今日は寒いという、寒暖の差の激しい日が続いています。
こういう時期に、例えば就寝時、風邪を引いているにも関わらず、暑いからとあまり布団をかけずに眠りに入り、明け方、体が冷え切って目が覚める。
また、日中の暑さに合わせて薄着で出勤や外出をし、夕方気温が下がってきてもその薄着のまま我慢する、などを繰り返してしまうと、風邪はなかなか抜けません。
これらの何がよくないかというと、体温を下げてしまうことです。体温が下がると免疫力が機能しにくくなります。
※体温は筋肉だけでなく、肝臓や胃腸が活動することでも作られます。
風邪のウイルスが体に入ってきたときに、体はそれを排除しようと、いつもよりも白血球を増やします。増えた白血球がウイルスを攻撃し、一掃できて風邪は治ります。体温が下がるとその白血球が活動しにくく、また増えにくくなるのです。 昔から「卵酒を飲んで厚着で寝て、汗をびっしょりかく」、「足湯がよい」などといわれているのは、この白血球が機能しやすい環境を作っているのです。
風邪のときにきちんと熱の出る人は、体が体温を上げ、白血球を増やそうとする免疫力が機能している証拠。その熱をむやみに薬で抑えてしまったり、薄着で体を冷やしたりすると、白血球が増えず、ウイルスに打ち勝つことができなくなってしまいます。
そんな状態で過ごしていても、何週間か経てば何となく治ったような気がしてしまいますが、ウイルスは一掃されたわけではなく、体のどこかに潜んでいますから、疲れがたまって免疫力が下がれば、また暴れ出すでしょう。
私は現在のところ、ひとりで仕事をしており、来月、再来月とご予約をいただいていますので、風邪でおいそれと寝込むわけにはいきません。
そこでいつも心がけているのは、ほんの少しでものどがいがらっぽかったりして風邪の徴候を感じたとき、その晩は熱めのお風呂で十分体を温めてから、厚着をして寝ること。お風呂で上げた体温を逃がさず、ひとばんゆっくり休む。それだけで翌朝はスッキリしています。地味ですが、私にとっては、いちばん効果的な対処法です。
野口整体の野口晴哉先生は「風邪の効用」という著作の中で、風邪の際には、もう少し短めの入浴を薦めておられます。
入浴にも体力が必要で、それには個人差があります。いろいろと試しながら、免疫力アップのための、ご自身にいちばん最適な入浴方法を探してみて下さい。
とにかく風邪のときには体を冷やさず、全力で自分の中の白血球を応援しましょうっ。
※ちなみに風邪のときの体型には、左右の肋骨に硬さや厚みの差が出ることが多いです。
参考図書:「体温免疫力」(安保徹著 ナツメ社)/「風邪の効用」(野口晴哉著 ちくま文庫)
(2007年5月18日) |