第二の心臓


先々月、健康雑誌「日経ヘルス」さんから取材依頼をいただきました。

テーマが「代謝アップ」とのことでしたので、‘肝臓’に加えて、ちょうどタイミングよく注目していた‘ヒラメ筋’と‘前脛骨筋(ぜんけいこつきん)’についてお話しさせていただきました。

本日(6/2)発売の「日経ヘルス7月号」に、ふたつの筋肉のしくみとトレーニングについて、イラスト入りで詳しく掲載していただいています(感謝)。

今回のブログには、取材用に私が作成した資料をそのままアップしてみました。

本誌ではトレーニングがメインでしたので、こちらの資料により理論編、特に均整法の視点で見た場合の重要性を、より深く知っていただければと思います。

******以下、取材用資料より***********************

代謝アップの2つのポイントは‘肝臓’と‘ヒラメ筋’。肝臓とヒラメ筋を同時に活性化する方法として「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」を鍛えるトレーニングをご紹介します。

代謝アップの2つのポイント:‘肝臓’と‘ヒラメ筋’

このふたつを活性化することで、心臓へ戻ってくる血液(静脈血)を、スムーズに戻す環境を整えることができます。

肝臓はお腹の、ヒラメ筋は足のうっ血解消のポイントになり、ひいては全身のうっ血解消、代謝アップにつながります。

肝臓

主な内臓(胃や小腸、大腸、膵臓、胆のうなど消化器系の内臓)から心臓に戻る血液は、「門脈」という血管を通っていったん肝臓に集まってから心臓に戻ります。

肝臓はその働き自体、代謝に深く関わります。体内の不要物、老廃物などを、体外へ排出できるように分解するからです。

肝臓の疲れが長引いてくると、その働きは低下、また、それぞれの臓器から来た静脈血が、疲れて張ってしまった肝臓の手前で渋滞を起こし、お腹の中全体にうっ血が起こります。そこから全身の静脈系にまで渋滞が広がっていくパターンが多いのです。

ところで、体の歪みには「普通の歪み」「内臓からの歪み」があり、通常このふたつが混ざり合っていますが、現代人は不規則な生活習慣により、上記のような肝臓の緊張、お腹のうっ血などから起こる「内臓からの歪み」の割合の大きい方がほとんどです。

均整法では両方を視野に入れて施術を行いますが、「内臓からの歪み」が度を超すと、1、2回の施術を受けるだけではどうにもならない場合もあります。

よって、当院では均整法の技法である「肝臓賦活法(かんぞうふかつほう)」を用いて、3ヶ月間(週に1回で10回)、徹底的に肝臓を中心に内臓を整えていくおなかの整体「肝整(かんせい)」というコースを設置、肝整を専門に行う均整院を「肝整 池袋」として快風身体均整院内に併設しています。

肝整の後には、肝臓を疲れさせないための、日常生活のアドバイス(食事、睡眠、運動など)をさせていただいています。その「運動」のうちのひとつを、今回はご紹介させていただきます。

‘ヒラメ筋’

上記のように、肝臓を整えるだけでも、静脈血の帰り道を整備することができますが、その整備された道へ静脈血を流す大きな役割を担っているのが‘第二の心臓’と呼ばれる「ヒラメ筋」です。

ヒラメ筋はふくらはぎにある、アキレス腱と一体になった筋肉で、その強力な伸び縮みにより、ポンプのように、足先の静脈血を心臓のほうへと送り返します。

ヒラメ筋がよく伸縮するためには、足首がやわらかく使え、よく返らなければなければなりません。これがとても硬い人が多いのです。

日常生活のアドバイスで「運動」をお伝えするときに、これまでは、足首、ヒラメ筋をやわらかくするために、アキレス腱のストレッチなどをお勧めしてきました。しかし、私自身はそれほど熱心にアキレス腱ストレッチを続けてきたわけではないのに、足首を比較的やわらかく使えます。

それはなぜなのかと考えたとき、20年来続けているレスリング、サンボなどの格闘技において、自然と自分にとっていちばん効率のよい足首の使い方を身につけてきたのでは?ということでした。

練習前の準備体操時にわずかな時間行っているアキレス腱ストレッチだけが有効なのではなく、その後の練習や試合の中で、相手に勝るスピードで動くために、自分がいちばん楽に動ける足首の使い方を身につけてきたのではないかと思います。

それを漠然とではなく理論的にお伝えでき、かつ効果的な方法はないものかと、ずっと探していました。

そして出会った、肝臓とヒラメ筋を一気に活性化する方法→「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」を鍛える!

そんな中で出会ったのがスポーツトレーナーの志水博彦先生(NSCA認定パーソナルトレーナー)でした。

さきほど私が足首を‘比較的’やわらかく使えると書いたのは、この先生の、素晴らしい足首の動きを見てしまったからです。目から鱗でした。

志水先生は、私が通っている大久保のスポーツジム「スポーツ会館」で、「動きの達人」というクラスを受け持っています。クラスでは若者からお年寄りまで、正確で快適な体の使い方を、トレーニングを通じて学んでいます。私も参加しています。
(志水先生は現在は東中野に「体玄塾」を創設しました。)

その志水先生に、ヒラメ筋をやわらかくするためには、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)を正確に使えるようにするということ、また、歩き方を通じてそのトレーニング法を教わりました。

前脛骨筋とは、すねの前側にあって、足首を曲げる(背屈させる)ための筋肉です。これがうまく使えて、足首をよく曲げられるようになると、後ろにあるヒラメ筋とアキレス腱が伸びます。歩行中、日常的にこの動作が繰り返されるようになると、ヒラメ筋はよく伸び縮みする環境に置かれますから、常にやわらかい状態に保たれます。

しかし前脛骨筋を使わず、あまり足首を曲げないまま歩くと、それを補うために、足先を外返しにしたり、内返しにしたりして、足首を曲げずに済むようごまかしてしまうので、ヒラメ筋はほとんど使われず伸び縮みできません。そのうちに、だんだん硬くなって、第二の心臓としての役割が果たせなくなってきます。

よってヒラメ筋、アキレス腱のストレッチとともに、前脛骨筋のトレーニングが必要になるのです。 均整法では、ヒラメ筋など、ふくらはぎの筋肉は肝臓と関係が深いと考えます。各筋肉はそれぞれ内臓と対応し、内臓の状態が反射して現れると考えれられており、均整では逆に筋肉に刺激を与えることで、内臓を整えたりします。その意味では、ヒラメ筋は‘第二の肝臓’ともいえます。

また、足首は腰椎2番(均整で肝臓の調整点として使う背骨)と関係が深いと考えます。そして、その足首が硬いままだと、先ほどの「足先を外返し」にする歩き方により、外反母趾にもつながります。

足の親指は「肝経」という経絡(気の流れる経路)が始まる部位でもあるので、外反母趾により、足の親指を硬くしたり痛めたりすると、この経絡の流れを滞らせることにもなります。 ※足の親指の爪際(人差し指側)から肝経が始まっています。肝臓に疲れのある方は、ここを軽く押さえただけでも痛く感じます。

これらのことから「前脛骨筋」トレーニングによって日常的にヒラメ筋がよく伸び縮みできるようし、足首をやわらかく使えるようにすると、肝臓も元気にすることができます。

志水先生は前脛骨筋を‘美脚筋(びきゃくきん)’と名付けました。前脛骨筋が正確に使えるようになると、足首のかたちも美しくなるというおまけがつきます。均整法でも、外見上の美容と、内面の健康は同じものとしてとらえます。時間もかからず簡単にできますので、ぜひお試し下さい。

プロフィール
志水博彦パーソナルトレーナー:1957年、熊本県生まれ。79年、熊本商科大学商学部卒業。大学時代に始めた少林寺拳法にはまり、サンフランシスコに渡り一年間ボランティアで普及に努める。帰国後、武道具メーカーやフィットネスクラブに勤務し、エアロビクスインストラクターなどを経験。2000年にNSCA認定試験に独学で合格し、パーソナルトレーナーとして本格的に活動する。プロスポーツ選手のトレーナー等も努める。「体玄塾」塾長。

田川直樹:「肝整 池袋/快風身体均整院」院長

 

(2007年6月2日)




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