肝整大辞典風邪が抜けない(その2)〜ある日の施術より〜


冷えと免疫力から見た風邪の抜けなさについては、5月18日分で書かせていただきましたが、今度は均整法的な見方です。

風邪を引いたあと1ヶ月ほど、鼻がつまったり鼻水が出たりが続いている男性。定期的に観させていただいていますので、いつもの状態と比べることができます。

すると、いちばん目に付いたのは、足の人差し指と中指の間(2,3趾間)が両方とも硬く緊張して、つまったようになっていることでした。この方は、いつもは右だけつまっていることが多いです。

体調不良時によくあるパターンは、こちらのお客様に限らず、左か右の2,3趾間、どちらか一方だけが硬くつまる状態。

これは、からだ全体の捻れが強くなっていることを表します。捻れて偏った重心を、右、あるいは左のつま先で受け止め続けているということです。

さらにそれが長引くと、そのつまったところから伸びている経絡線(全身にあるツボ〜経穴〜を結んでできるライン。例えば胃に関係する経穴を結んだラインは胃経。大腸なら大腸経など。)に沿って、重心の偏りを支え続けていることからくる緊張感が上っていき、この場合は胃経という、胃の経絡線上に不調を示したりします。

※ちなみに肝経は足の親指の爪際(人差し指側)から始まり、胆経は足の薬指の爪際(小指側)に終わります。肝臓や胆のうに疲れのある方は、ここを軽く押さえただけでも痛く感じます。

均整法ではこれら経絡線上の圧痛や、肝臓その他の各臓器に関わる脊髄神経の反射点、その臓器をかばうような姿勢、腹部の圧痛などを総合的に観察して、その方の歪みがどこから来ているかを見極めていきます。

胃経は鼻のすぐ脇を通りますので、鼻に関する何らかの不調にもつながりやすいのです。

お話しを伺うと、お仕事の締切が迫り、何日も集中してパソコンに向かう日が続いたとのこと。

頭を集中して使い過ぎると、姿勢としてはうつむき加減になることが多く、そのため片足ずつではなく、両足のつま先に重心が偏ります。

F1(フォーム1・頭脳型)調整でそれらを解除すると、鼻の穴の大きさが両方とも拡がりました。やはりこのことが影響していた可能性が大きそうです。

一ヶ月後にいらした際に伺うと、その後、鼻は大丈夫で、調子よく仕事ができていますとのことでした。

しかし、やはりお仕事柄、同じような状況になることは今後もあるでしょうから、同じく頭を使い過ぎれば、やはり今回と同じような歪みになります。

よく話題にされる「整体で歪みを整えても、またもとに戻るのでは?」という質問の答えもここにあります。

いつも真っ直ぐであり続けるということは、逆にいえば真っ直ぐのまま、硬く固まってしまったということで、これはこれで具合が悪いのです。

大切なのは、何かに集中したりして疲れが深まったときに体の歪みが出てきても、一段落付いたときには、自然ともとの状態に戻れるかどうかです。

本来このように歪みと真っ直ぐの間を自力で行き来し、そのときどきの環境に柔軟に対応できる体が健康体なのです。

施術には、歪んだまま動きがとれなくなってしまった方だけでなく、真っ直ぐのまま動きがとれなくなってしまった方も再び動き出せるように、後押しする役目もあります。

(2007年6月30日)



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