肝整大辞典ペットボトルが開けにくい〜ある日の施術より〜


40代女性。ペットボトルのキャップを開ける動作で手首が痛い。

手首は前腕部分の二本の骨と、手のひらの中にあるたくさんの小さな骨が細密に組み上がってできています。

ペットボトルを捻って開ける、あるいはドアノブを回すなどの動作では特に、前腕の二本の骨「橈骨(とうこつ)」と「尺骨(しゃっこつ)」が、クロスしながら滑らかに動くことが必要なのです(詳しいしくみは2007年7月13日分をご覧下さい)。

(手首と肘の間に橈骨と尺骨 があり、前腕をひねる動きに合わせて平行になったりクロスしたりしています。肘と肝臓は互いに連動しており、どちらかの動きが悪くなると、もう一方もそれに引きずられるという性質があります。さらに、肘の動きが悪くなれば、橈骨と尺骨はスムーズにクロスできなくなり、手首の動きにも制限が出ます。そこで均整では、肘や手首の動きを整えるために、まず肝臓調整をしたりするのです。)

この方の場合はお仕事柄、かなり手先を酷使する日常をお過ごしで、前腕の筋肉が慢性的に凝り、橈骨と尺骨がスムーズにクロスするのをじゃましている様子。

手でも足でも、捻る動作に乱れがあると、それは体幹を捻る動作にも連動して影響してきますので、均整法ではまず回旋型(F5またはF6)調整で全身の捻れのバランスを整えた後、前腕や手首を整えていきます。

ただし、せっかく整えても、同じような手の使い方をすれば、またもとの状況に陥るのは避けられません。その箇所だけを使って動作をしていることに問題があります。

この方の場合なら、ペットボトルを開けるときに主に‘手首’だけを使っています。本当は肩甲骨、肋骨も含めて腕全体が動き、それと連動して骨盤も回転するといった、全身の連動も必要なのです。

野球やピアノでも、上手い人の体の使い方は、なんだかとっても優雅、あるいはのびのびとして、きれいに見えます。ひとつの動作をするために、全身が連動しているからです。

たかだかペットボトルを開けるのに、そこまでいわなくても。。と思われたあなた。体の偏った使い方は、その一回限りで考えれば、たいしたことではないかもしれません。

でも、無意識に行っている日常動作は、意識して修正しなければ、何年も何十年も繰り返されるのです。その積み重ねが体の一部に負担をかけ、そこを中心に全身の歪みができあがっていくことも忘れないで下さい。

例えば歩き方。膝をあまり曲げずに、お尻を振り回すことで両足をコンパスのように使って歩いている方。つま先で地面をひっかくようにして前に進んでいる方(猫パンチを足でやるようなイメージでしょうか)。いろいろな歩き方があります。足は、どんな使い方でもいいので交互に前に出せば、とりあえず歩くことができてしまいます。

コンパス歩きでは、足を前に振り出すために、お尻からももの横や前の筋肉(大臀筋、梨状筋、大腿筋膜張筋、大腿四頭筋など)が使われ、猫パンチ歩きではそれに加えてふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長・短腓骨筋など)が過剰に使われます。

その結果、本来それほど使われなくてもよい筋肉が不自然に鍛えられ「ウォーキングなどけっこうやっているのに下半身がやせない」「足首が太い」etc.のお悩みにつながります。知らないうちに、やせたい部分の筋肉を鍛え上げ、太くしているのです。

ではどこの筋肉を使えばよいかというと、骨盤の内側にある筋肉‘腸腰筋’を主として動作することで、歩き方はもとより、無駄のない上半身の動きで、ペットボトルを開けることもできるのです。

施術ではこの腸腰筋を手技によって弛めたりもしますが(直接弛めたり、後頭骨との連動で左右の動きを整えたりします)、院から出てお帰りの際にまたコンパス歩きでは、腸腰筋が伸び縮みすることがなく、またすぐに固まってしまうのです。

それを防ぐために、腸腰筋をはじめ、普段使えていない筋肉に刺激を与えて活性化する方法などもお伝えしています。腸腰筋が使えるようになり、股関節を体幹に引き込むようにしてしゃがむことができれば、ギックリ腰になることもなくなるでしょう。

イチロー選手のような、スポーツ選手と同様の一流を目指す必要はありませんが、歩き方、ペットボトルの開け方など日常動作では、誰もが一流を目指す必要があるのです。

フォーム(体型)についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』

(2008年2月07日)



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