坐骨神経痛〜ある日の施術より〜


坐骨神経というのは腰椎の下部、骨盤から始まり、お尻(臀部〜でんぶ〜)の筋肉の間を通り、ももの裏を走る太い神経です。

お尻は、ひとつの大きな筋肉で作られているわけではなく、いちばん表面の大臀筋(だいでんきん)の下には、細かな筋肉(中臀筋、小臀筋、梨状筋、上双子筋〜じょうそうしきん〜、下双子筋〜かそうしきん〜など)がたくさん集まって作られています。

坐骨神経は、その細かな筋肉と筋肉の隙間(梨状筋と上、下双子筋の隙間)から顔を出してももの方へ伸びていくため、特に梨状筋を長年にわたって無理に使い過ぎ、凝りが慢性化してしまったときに、隙間を狭めて坐骨神経を圧迫してしまうことがあり、いろいろある坐骨神経痛の原因の中でも、多く見られるパターンです。

この場合、お尻を力ませて歩く方がなりやすく、お尻の筋肉全体が凝り、梨状筋も凝り固まり、坐骨神経が出てくる隙間を狭くします。

お尻の筋肉全体が常にギュッと締まったままでいますから、骨盤の後ろ側が引っ張られて閉まることになり、前は開きます。今回観させていただいた50代女性もそうでした。

逆に骨盤の前、筋肉で言うとももの前側の筋肉などに必要以上に力を入れて歩く方は、骨盤の前側が引っ張られて閉じることになります。すると、後ろ側は開き、梨状筋はピーンと伸び過ぎた状態になり、そのテンションにより、坐骨神経が出てくる隙間を狭くします。

前者の場合は、梨状筋自体が凝って縮んでいるわけですから、梨状筋をゆるめてやわらかくする施術を用いてもよいかもしれませんが、後者の場合は、いくら梨状筋だけを施術で弛めようとしても弛みません。

ではどうすればよいかというと、骨盤の前側をほどよく開くことで、ピーンと張り過ぎている梨状筋のテンションを弛め、坐骨神経の通る隙間を拡げていくのです。

この場合、ももの筋肉だけではなく、骨盤の前側かつ内側についている筋肉「腸腰筋(ちょうようきん)」が凝って縮こまっていることが多いです。

今回の50代女性はこの逆に、腸腰筋がダランと弛みすぎてしまい、梨状筋は凝り固まっている状態。先ほど、梨状筋が凝り固まっているならば梨状筋自体を弛めてもよいと言いましたが、この方の場合は凝り過ぎていて、直接弛めようとしても無理でした。

そのようなときには、腸腰筋と梨状筋が位置的に骨盤の前後でシーソーのようにバランスを取り合っていることをふまえて、例えば均整法では「前後型(頭脳型)」などの調整により、そのバランスを回復させていきます。

今回の方の場合は、骨盤の前をほどよく閉めて、ダランと弛みすぎてしまった腸腰筋にほどよい弾力を取り戻すことでシーソーバランスが取れ、凝り固まった梨状筋もようやく弛んでくるのです。

※男性によく見られるのは、例えば暴飲暴食により、慢性的に負担のかかっている胃や肝臓が肋骨を内側から押し広げ、広がりすぎた肋骨に対して、肋骨と骨盤のシーソー現象として、骨盤全体が縮んでしまい、結果、梨状筋も縮み、坐骨神経にも負担がかかるパターンです。

その後に大切なのは、日常生活で腸腰筋と梨状筋、どちらにも偏り過ぎない歩き方や動作ができるようになることです。

それができないと、均整院を一歩出たとたんに、また梨状筋全開の歩き方になり、もとに戻ってしまいますから。

そのための、日常生活の中で行える手軽なトレーニング(足首や股関節など、その方に応じた)をお勧めして、お帰りになっていただくようにしています。

※フォーム(体型)についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』

(2008年4月1日)

 



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