肝整大辞典めまい〜ある日の施術より〜


40代女性。出産、子育て中。家事でキッチンに立っているのも辛いほど。これまでで初めての経験。病院での受診では、急を要する状態ではなく、自律神経の疲れとの診断で、現在投薬治療中とのこと。

均整法ではどのような場合でも、病気や症状に対して治療するのではなく、その方の姿勢や動きを整えていくことが基本です。さらに言えば、そのとき現れている症状も、現在の姿勢がなぜそのように歪んでいるのかの手がかりとしていきます。

例えばめまいの場合、体のバランス感覚を担当している「小脳」「内耳」のある後頭部、側頭部のかたちはどうなっているか、背骨では、脳への血流をコントロールしている交感神経の節目(星状交感神経節)に近い、胸椎2番はどうなっているか、などを観ていきます。

この方の側頭から後頭部にかけて、両手で包むように持たせていただくと、左側は丸みを帯びているのに対して、右側は平らになっていました。

細かく観ていくと、両耳の後ろにある、頭蓋骨のでっぱり(乳様突起といいます。参考:乳様突起 - Wikipedia)が、左は張り出して大きく感じ、右はあまり張り出さず、平らに近くなっています。

まずは、この左右差をなくしていくことが目標になります。直接的には頭蓋骨操法などもありますが、もっと視野を広げていくと、この乳様突起を含め、頭蓋骨の後ろから肩にかけてついているいくつもの筋肉(僧帽筋、胸鎖乳突筋etc.)にも左右差のあることが見えてきました。右に比べて左側のこれらの筋肉が、全体的に硬くなっています。

そこから考えられるのは、これら左側の筋肉が凝って硬くなり、頭蓋骨の後ろ、左半分を引っ張っているのではないか?ということです。

では、左側の肩や首の筋肉を硬くしているのは?と追いかけていくと、位置的に心臓の疲れが、体表の筋肉に向かって反映している様子。

子育ての真っ最中ですので、例えば夜中にも頻繁に起きなければなりませんし、何ヶ月にも渡るそれらの疲れが、具体的には心臓の疲れとして現れたようです。

このような流れから、施術により心臓疲れをとっていくと、頭蓋骨操法を必要とせずに、自然と後頭部や乳様突起のかたちは、左右のバランスがとれてきました。

※「心臓疲れをとる施術」多くの場合、各内臓から肝臓を通って心臓に戻る流れを整えると心臓への負担が減り、心臓疲れが解消されます。

(2008年7月15日)



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