足組み〜ある日の施術より〜


50代女性。長年の腰痛に悩まされている。

仰向けで膝を立てた状態の両足を少し持ち上げさせていただくと、お尻(坐骨〜ざこつ〜)の位置が水平ではなく、大きく斜めになっていました。左のお尻が右に比べてずいぶんと上(頭の方向)に上がっています。

(坐骨の位置はこちらのサイト『全身骨格図』、骨盤の説明書きをご参照下さい。) 均整法では腰痛なら腰、肩こりなら肩というように、痛んでいる箇所だけを観ることはしません。あくまでもそのときの全身バランスを整えていきます。

この方の場合も、坐骨の他に目立った歪みが、右の肩下がり(肝臓の慢性疲労の場合、肝臓のある右側の肩が下がりやすいです)でしたので、そちらを目標にまず上半身のバランスを整えていくと、坐骨は直接施術しなくても、徐々に水平に近くなってきました。

そうしておいて、ほとんど左右の差がなくなった坐骨を、最後に微調整していきます。

なぜ最後かというと、痛んでいる部分が腰ですので、腰には直接触らないのはもちろんのこと、腰に近い部分(ここでは坐骨)であればあるほど、施術の後半、全身のバランスがほとんど整ってから微調整をしていくことで、体への負担が軽くて済むのです。

ところで、上がった坐骨を下げるときに使う方法のひとつに、四の字のように足を組むポーズでの施術があります。電車の座席などで見かける、男性が足組みをしている、あのかたちです。

女性や、細身の男性では、両足を絡ませるように組んでいることも多いと思います。足を組む角度によって、腰や骨盤の、どの部分に効かせていくかをコントロールすることができます。

このように足組みは、施術で骨盤を整えるときに使うポーズでもありますから、電車や職場で毎日、組みやすい方ばかり組めば組むほど、そのかたちどおりの骨盤になる、あるいは、なっている可能性が大きくなります。

また、組みやすい方に組むと、それに合わせて上半身もどちらかに傾いたり丸くなったりします。組んだ足が楽なだけではなく、組むことによって、上半身も楽になるポーズを、人は無意識に探しています。

さらに、その上半身の中には、多くの内臓が納まっていますから、それらのうちのどれかを楽にさせるための足組みをされている方も多いのです。均整では‘内臓のくつろぎ姿勢’と呼んでいます。

例えば夜、布団の中で、左足を右足に重ねると楽な人は「胃」、逆なら「肝臓」、「腎臓」や「腸」であれば、それらの疲れている側の足をダランと開いたかたちなど、それぞれのポーズに意味があります。

均整法ではこのように、歪みのつながりを下半身から上半身へ、体外から体内へなど、広さと奥行きを持った視点でとらえ、身体の各部が、その方にとって、いちばん快適なつながりになるよう調整していきます。

(2008年8月10日)



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