40代女性。立った姿勢でバンザイをすると、右肩関節の後ろ側が痛い。
ベッド上での施術には主に、仰向けとうつ伏せ、そして横向きの姿勢があります。うつ伏せのとき、両腕は上か下、または横など、その方のいちばん楽な位置に置いていただきます。
この方の場合、肩が痛くなければ上に伸ばした方が楽な様子でしたが、左腕は楽に伸ばせても、右腕は肘を曲げて縮めていないと、やはり肩の後ろが痛いようです。
痛い箇所を観させていただくと、右の肩関節の後ろ(肩甲骨と上腕骨の間)が緊張し、左に比べてすきまがなくなっています。
このすきまをどうやって広げていくかがポイントになりそうです。均整ではこのようなとき、自然にすきまが広がる姿勢を探します。
うつ伏せの状態で、この方の骨盤は左のお尻が高くなり、右が低くなっていました。骨盤全体でいうと、左に捻れていることになります。
(骨盤は、内臓との連動で捻れることが多いです。例えば、肝臓と骨盤の位置関係から考えると、肝臓は上腹部の右側にありますので、肝臓が慢性的に緊張した場合、骨盤も右が引っ張られて、骨盤全体としては左捻れになります。)
このお尻の高低差(骨盤の捻れ)がなくなる姿勢を、足を広げたり曲げたりして作り、右肩を観てみると、せまくなっていたすきまが広がり、右腕も楽に上に伸ばせるようになりました。
右肩が楽になる、この姿勢を見つければ、あとはそれを設計図にして骨盤を整えていくと、施術は完了です。
ただ、心得ておいていただきたいのは、こうして姿勢を変えてみるだけで、その場ですきまが広がったり動きがよくなるというのは、症状としては、まだ初期の段階です。(最近、ちょっと肩が変だな〜。)くらいなので、気になってはいても、お医者さんに行く人も少ないでしょう。この方もそうでした。
この状況が進み、動かさなくても痛くなり、夜も寝られないなどになって、ようやく整形外科に行き、四十肩(五十肩)、あるいは、もっと正式な診断名をいただく、という場合が多いようです。
そこまでいくと、肩周囲の筋肉は石のように硬くなり、ちょっと姿勢を変えたくらいではびくともしなくなります。また、痛みがひいてから、動きの範囲をもとに戻していくのにも、施術の時間と回数がかかります。
骨盤が捻れる原因、その多くは、内臓のどこかをかばっているときです。例えば肝臓をかばって骨盤が捻れ、骨盤をかばって肩が力んで痛み出す等。今回の状況ぐらいのうちに、肩を力ませている原因を見極めて、きちんとケアしておきましょう。
(2008年9月5日)
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