便秘〜ある日の施術より〜


30代女性。中学生のころから便秘に悩んでいる。

便秘は「痙攣性便秘」と「弛緩性便秘」に大きく分けられます。

痙攣(けいれん)性便秘というのは、腸が動きすぎて引きつった状態が長く続き、便が出にくくなるもの。弛緩(しかん)性便秘は、腸の働きがにぶくダランと伸びてしまい、便をなかなか送り出すことができないものです。

腸を始め、内臓をコントロールしているのは交感神経と副交感神経という、二種類の自律神経です。弛緩性は交感神経による腸のコントロールが、痙攣性は副交感神経によるコントロールが強すぎる状態といえます。

分かりやすい例でいうと、慣れない旅行先などでよく便秘になる方は、旅行が楽しい反面、ふだんとは違って気を張っていることが多いため、交感神経が働きすぎて、腸に一時的なブレーキがかかりやすいのです。

便秘の例ではないですが、女子運動選手が、試合に向けての緊張感や、激しい練習から生理が止まるのも、この交感神経の作用によるものといえるでしょう。

このように一時的なものであれば問題はないですが、長年に渡っている場合には、もともとの性格傾向や、食事・睡眠・運動などの要素で、交感神経を過敏にさせている要素をはっきりさせて、それを改善していくことも大切になってきます。

食事・睡眠・運動の「運動」に関連しますが、例えば普段から仙腸関節こちらの図で、腸骨と仙骨のつなぎ目が仙腸関節です)を動かすような歩き方など、正しい日常動作をしていないことも、骨盤を固め、ひいては骨盤の中にある交感神経や副交感神経を過敏にさせたり、またはその逆に働きを鈍くする原因となります。

そのようなわけで、長く便秘にお悩みの方の骨盤を観させていただくと、ほとんどの場合とても硬く、動きがありません。

うつ伏せで骨盤(仙腸関節部)を上から軽く押させていただくと、状態のよい方は、ほどよい弾力があります。

便秘その他、自律神経的なお悩みをお持ちの方、今回の女性の場合もですが、伏せたお椀を押しているような、ガチッとした硬さを感じることが多いです。

仙腸関節を作っている仙骨付近には、副交感神経や交感神経が束になって集まっていますので、長年のそれら神経の緊張が仙腸関節、ひいては骨盤全体にも硬さとして現れてくるのです。

今回のお客様には施術後、仙腸関節を普段から動かす歩き方にするためにはどうしたらいいかを、骨盤の奥の筋肉である腸腰筋へ意識を向けるトレーニングを中心にお話しさせていただきました。

簡単な動作を、一日10回くらいやってみて下さいね、という内容ですが、試しにやっていただくと、まったくできませんでした。そこでくじけずに、腸腰筋を使おうとがんばっていると、そのうちに脳から腸腰筋への、新たな神経ルートが開通します。

開通した体での日常生活は、これまでと違い、腸腰筋を使った日常生活になりますから、これまでよく使われていなかった仙腸関節も少しずつ動き出してくるのです。

※副交感神経の働き過ぎによる痙攣性便秘のもとをたどると、肝臓を過剰に働かせてしまう日常生活(暴飲暴食、夜更かし、運動不足etc.)などによって、肝臓を動かすために副交感神経が常に働き過ぎ、つられて腸を含む消化器系全体が緊張してしまうことに行き着くパターンが多いです。

(2008年9月26日)



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