自律神経と腰痛〜ある日の施術より〜


30代女性。腰がいつも痛い。

腰痛には大きく分けて二種類あります。痛い箇所を指一本で示して下さいと伺ったときに、「ここです」とはっきり指させるものと、「この辺りです」と、指で円を描くように、あるいは一本では指させず、手のひら全体で覆うようなかたちになり、広い範囲が痛いというもの。

前者は、例えばよく‘ギックリ腰’と呼ばれる急性の腰部捻挫などで、脊柱や骨盤の、あるひとつの関節だけを痛めてしまったような場合に多いです。

後者は、この他の訴えとして、起床時に痛い、重いとおっしゃることも多く、慢性的な腰痛といえます。

なぜ慢性化するのか、いろいろな考え方がありますが、今回はそのうちのひとつ、自律神経が背骨や骨盤に影響していた方の例です。

自律神経には「交感神経」「副交感神経」の二種類があり、シーソーのようにバランスを取り合っています。

よく知られているのが、昼間活動しているときには交感神経が、夜リラックスして寝るときには副交感神経が働くという作用です。

このふたつの自律神経が脳から脊柱(頚椎〜骨盤)を通り、体中に向かって、網目のように張りめぐらされ、伸びています。

その分布の割合は、体のどこをとっても均等というわけではなく、場所によって、交感神経の働きが強いところ、副交感神経の働きが強いところがあり、このことが、今回の方の腰痛には深く関わっていました。

例えば骨盤の後ろ側、「仙骨」から伸びる神経は、上部では副交感神経、下部では交感神経の働きが強くなっています。

ストレスを長く感じ続けていたり、寝不足が続いたりすると、仙骨下部、交感神経ゾーンの筋肉は硬くなり、上部の副交感神経ゾーンは、シーソー関係により働きを抑えられて、筋肉がやわらかくなります。

それが度を超えると、やわらかいというよりは、ヘナヘナと力の抜けたような状態になり、その上に載っている上半身をうまく支えることができなくなってしまうのです。

(肝臓を始めとして各内臓は交感神経と副交感神経によって動いています。逆に、例えば肝臓の疲れが副交感神経を疲れさせると、上記のような仙骨の状態を引き起こします。)

このシーソー関係は腰椎や頚椎、どこでも起こることで、この方の場合は腰椎にもこの状態が観られました。

頚椎でこれが起これば、慢性であれば肩こり、首こり、急性であれば寝違えなどのベースになります。 先日、NHK「ためしてガッテン」で放送されていたトリガーポイント形成の、理由のひとつにもなってくるでしょう。

よって、施術としては腰椎や骨盤そのものを整えていくのではなく、12種体型の頭脳型調整などで、自律神経のバランスを整えた結果として、骨盤や背骨の硬すぎるところとやわらかすぎるところとのシーソー関係の差が解消され、上半身をきちんと支えられる腰椎、骨盤を取り戻していくことになります。

また、ここまでの状態になると、施術を体に浸透させていくためには、仕事のし過ぎなど、ストレスの原因解消への方策を見直したり、夜ふかし、睡眠不足、喫煙、などの習慣改善に並行して取り組んでいくことも必要です。

※頭脳型については、こちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』

(2009年3月14日)



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