肝整打撲による骨盤の歪み〜ある日の施術より〜


均整法では、骨格の調整に「最密位(さいみつい)」を用います。

最密位とは、関節が最も密になる位置という意味。

こう書いてしまうと難しく聞こえますが、例えば手首(手関節)や足首(足関節)であれば、いちばん反らせた状態。肘(肘関節)や膝(膝関節)であれば、いちばん伸ばした状態がそれにあたります。この最密位は、全身の各関節において決まっています。

(立った姿勢で腕を自然に下げているとき、両肘を結んだ線上には肝臓、両手首の線上には骨盤があることから、肘の最密位調整は肝臓調整に、手首の最密位調整は骨盤調整になります。「水平相関」と言います。)

最密位は、例えば歯車がきちんと噛み合っている状態といえます。少しでもずれていると、歯車はうまく回りません。

何らかの原因で、自力では最密位をとろうとしてもとれなくなっている関節を、最密位のかたちがとれるように整えていきます。

無理矢理に持っていくのではなく、結果的に最密位がとれてしまうように、といえるでしょう。具体的には、まず体型調整から始めます。

例えば仕事先での作業中、鉄パイプ製の大きなカートの角に、恥骨の左側をぶつけてしまった20代女性。

恥骨の真後ろ、お尻側にある仙腸関節(骨盤を構成する、腸骨と仙骨の間の関節)に、打撲の影響と思われる、かなりの左右差が見られました。

骨盤(腸骨)は一枚板でできていますから、前をぶつければ後ろにも影響が出ます。逆に、尻もちをつけば、恥骨側にも影響が出るでしょう。

そのことを踏まえつつも、いきなり仙腸関節には手を出さず、12種体型を基準として、現在の姿勢や動きが、打撲の影響を含めてどうなっているかを調べ、まず脊柱を中心に全体を整えていきます。

その後、恥骨や仙腸関節のある骨盤からできるだけ遠いところにある、頭や足首の関節から順番に整えていき、最後に仙腸関節の最密位をとってみます。

脊柱やその他の関節調整が終わっているので、連動して仙腸関節もあるべき位置に戻る準備が十分にできており、グィッ!あるいはボキッ!などと、強く持っていかなくても、仙腸関節の最密位を静かにとらせるだけで、「ポコン」という小さな音とともに、もとの位置に収まりました。

特に不調の自覚はなかったのですが、施術の流れの中で、左の股関節がポコンと音を立てた、30代女性もいらっしゃいました。

何かありましたか?と伺うと、思い当たるといえば、冬にスノーモービルで転倒したことかな?とおっしゃっていました。

このまま放置しておいたとしたら、左の股関節は、何かの拍子でもないと、自力では最密位に持っていきにくく、長期に渡ると、全身のバランスを崩すもとになっていたでしょう。

また、打撲の影響が、単に骨格の変位というだけではなく、自律神経に刺激を与えて、それが体内にとどまることもあります。

このときのひとつの目安としては、尾骨に痛みや過敏さが現れることです。

尻もちで直接尾骨を打撲したりすればもちろんですが、そういうことがないにも関わらず、なぜか尾骨を触るとピリピリする、などという場合には、過去に大きな事故などの経験はないかどうかをよく思い出してみて下さい。

原因のよく分からない長年の不調がもしもあったとしたら、その手がかりになるかもしれませんので、思い出した情報とともに、お近くの均整院をお訊ねになってみて下さいね。

※12種体型については、こちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』

(2009年8月1日)



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