20代男性。首や肩が凝る。
施術がひととおり終わった段階で、最初にチェックした首や肩、体全体の動きが変わっているかどうかを確認していただきます。
ご本人の自覚はかなり軽くなった様子でしたが、背後から観ていた私の目からは、まだ一箇所ひっかかっていて、そのために体の捻る動作を制限している背骨(椎骨)がありました。胸椎12番です。
下図をご覧下さい。12個ある胸椎と、その下に5個ある腰椎との境目が胸椎12番。
(脊柱図by「アイリス・アイリスの作業現場」)
ベッドの端に腰掛けていただいて、再度12番を微調整しながら、胃の調子を伺うと、最近痛いことがあると話して下さいました。
神経のつながり的にも、胃の調子が悪いときにはこの付近の左側に圧痛が出ますし、ツボの観点からも、この場所には「胃兪(いゆ)」があり、胃の反応が出やすいのです。
再び上図を見て下さい。脊柱を側面から見ると、なめらかなS字のカーブを描いています。「生理的弯曲」と呼ばれます。
「胃と胸椎12番」の関係をはじめ、肝臓や腎臓、心臓その他、それぞれが疲れたときに反応の出やすい背骨(椎骨)は決まっています。
(ちなみに肝臓は胸椎8番や腰椎2番、また肝兪に近い胸椎9番に反応が出やすいです。)
そこを中心に脊柱が歪めば、この生理的弯曲も乱れるのです。
S字が深くなれば、例えば今回の男性の場合でしたが、肩や首の付近のカーブもきつくなり、周囲の神経を圧迫したり、筋肉に余分な負担をかけます。
逆にS字が浅くなれば、例えば歩いたり何かの作業をした場合に、地面からの衝撃が緩衝されずに直接首や肩に響いて、そこから痛みや凝りにつながることもあるでしょう。
快風院の施術室には全身骨格模型を備えてありますので、脊柱の理想のカーブをよく目に焼き付け、自分の体内の生理的弯曲をイメージしながら、日常的によい姿勢をとれるようにして下さい。
暴飲暴食に気をつけて胃腸の負担をなくせばよい生理的弯曲を保つことができ、肩こりも防げます。
逆に、正しい姿勢を心がけてよい生理的弯曲を保つことも、胃腸の健康には大切な要素です。
※均整法では施術前、体の各動作を12通りに分けて調べ、最もやりにくい動作を中心に整えていきます。骨盤に関係する動きとしては、例えば開脚が得意か苦手かなど。その指標となる「12種体型」についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
(2011年1月1日)
|