30代女性。かなり以前に捻挫した左足首が、古傷のように痛むことがある。
足首の太さを比べてみると、右に比べてずいぶん太くなっています。最近捻ったわけではないため、腫れているのではありません。
分かりやすく言えば、足首をかたち作っているいくつかの骨と骨の間が、うまく噛み合っていないのです。歯車が噛み合っていないようなイメージです。
足を動かしている神経は主に腰椎から伸びています。足首の故障には腰椎2番や4番、5番が強く影響します。
それらを中心に腰椎を整えるだけでも、左足首の歯車は噛み合ってきて、左右の太さが揃ってきました。(均整法では左足首は肝臓に、右足首は胃に関係すると考えます。)
その後、股関節→膝関節→そして足首と順番に整え、1回目の施術は終了。その回でいちばん歪みが目立っていたのは、やはり足首でした。
施術も3回目くらいになると、足首の左右差は、施術をする前からほとんどありません。
その代わりといっては何ですが、特に調子の悪くなかった膝関節の太さの違いが左右で目立ってきました。
長期間どこかをかばっていると、かばうことにがんばっていた他の箇所が、ひっそりと傷んでいることもあるのです。
もう何度か施術を繰り返すと、さらに他の部位にも、ずっと以前からあったにもかかわらず、表面に出てきていなかった歪みが現れるかもしれません。
では、それらの歪みを1回の施術に全部見つけて、例えば半日くらいかけてすっかり整えてしまうことはできるのでしょうか。
できるかもしれませんが、しないほうがいいでしょう。
施術ではまず表層の、いちばん新しい歪みを取り去っていきます。すると今回の膝のように、次に古い歪み、それが整うとさらに古い歪み…と、その人がこれまで持っていた歪みがどんどん表に現れてきます。
それらをどこまでも追いかけて、長時間の施術を受け続けると、過剰な刺激が体に入り、必要以上に疲れてしまうのです。
ずっと昔の話ですが、ある手技療法学校の授業中、施術のモデルとなった生徒さん本人の希望もあって、どんなわずかな歪みも歪みとして、背骨を上から下まで全部、順番に矯正していったそうです。
結果その生徒さん、高熱を出した後、半年ほど学校を休んだ、という話を聞いたことがあります。
これは極端な例ですが、過剰な施術は、多かれ少なかれ体にとってマイナスに作用することもあるのです。
例えば症状が重い人、あるいはご高齢になればなるほど、1回の施術時間も短いほうが、体力を消耗しなくて済むのです。
現在のお悩みが解消した後も、月に一度くらいのペースで整体を受けると体のメンテナンスによいと言われるのは、このような背景があるからなのです。
※均整法では施術前、体の各動作を12通りに分けて調べ、最もやりにくい動作を中心に整えていきます。骨盤に関係する動きとしては、例えば開脚が得意か苦手かなど。その指標となる「12種体型」についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
(2011年2月12日)
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